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矛盾について(その12) ブログトップ

8月8日(日) [矛盾について(その12)]

 前にこう言いました、「この矛はどんな盾も貫く」という命題と、「この盾はどんな矛も跳ね返す」という命題は矛盾するが、太郎が「この矛は云々」と主張し、次郎が「この盾は云々」と言い返すことは矛盾ではなく、二人が対立しているという現実があるだけだと。同じように、「邪馬台国は九州にあった」と「邪馬台国は近畿にあった」とは矛盾しますが、ある学者が九州説を採り、他の学者が近畿説を採ることは矛盾ではなく、学説が対立しているという現実があるだけです。
 一方「パレスティナをユダヤ人の土地と認める」という約束と「パレスティナをアラブ人の土地と認める」という約束の場合はどうでしょう。こちらは、約束の文言が矛盾しているだけでなく、そのように約束すること自体が矛盾しています。というより、約束の文言と約束するという行為とは別ではありません。ですから、それらの約束を誰がしたかということは関係ありません。実際はどちらもイギリスが約束をしたのですが、一方をイギリスが、他方をフランスがしたとしても、ことの本質は変わりません。いずれにしても、矛盾した約束がかわされてしまったのです。
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