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8月26日(木) [矛盾について(その30)]

 事実の記述かそうではないかは、真偽を問えるかどうかで判別できます。事実に照らして真か偽かを問える言説は事実の記述ですし、真でも偽でもない言説は事実の記述ではありません。
 さて「日韓併合とは日本が韓国を植民地にしたということだ」という言説は真か偽かを問えるでしょうか。植民地にするとはどういうことかを明確にすれば、この言説の真偽を事実(実際に日本が韓国に何をしたか)に照らして明らかにすることができますから、これは事実の記述と考えるべきでしょう。
 もし事実の記述をめぐる対立でしたら、あくまで事実に基づいて客観的に正しいか間違っているかを判定しなければなりませんし、意思の表明や感情の表出をめぐる対立でしたら、どれが正しくてどれが間違っているということはありません。
 それはいいとして、ここで考えたいのは、えてして客観的な問題だけが意味があり、主観的なことがらは価値がないとみなされることです。「見る」ことに価値がおかれ、「意思する」ことや「感じる」ことはそれぞれの個人的なことがらで、まあどうでもいいとされます。
 しかしほんとうに議論する価値があるのは「意思する」ことや「感じる」こと、つまり主観的なことがらではないでしょうか。
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