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9月5日(日) [矛盾について(その40)]

 仏教の矛盾した言説に真実があるとすると、矛盾とは一体何だろうかと考え始めたのですが、まずは、どうして「煩悩即菩提」などということばに深い真実を感じるかをお話ししなければなりません。
 「このまま生きていていいのだろうか」という厄介な問いを抱えてしまった人がいるものですが、そのような人にとっては生きることそのものがどうにも居心地が悪いのです。そこで何とかしてこの居心地の悪さから抜け出ようともがくことになります。
 今から2500年も前に、釈迦が世間的な幸せのすべてを捨てて苦行の生活に入る決意をしたのは、どうにかして自分の居場所を見つけようとしてのことです。彼はこの煩悩の世界に居心地の悪さを感じ、どこかに自分の居場所を見つけようとした。彼が見つけようとした居場所が菩提の世界です。さてどうすれば煩悩の世界から抜け出して菩提の世界に至ることができるのか、こうして彼のすさまじい苦行がはじまります。
 彼29歳のときです。
 で、6年が経過し、釈迦は突然苦行を中断します。それまで周りの仲間たちが舌を巻くほど厳しい苦行を続けた彼が、それを打ち切ってしまったのです。そして河で身を清め、村娘からもらった乳粥を飲んだ後、菩提樹の根元に座禅を組んで静かに瞑想に入ります。そのとき彼に何が起こったのか。深い気づきがあったに違いありません。それは彼の表情にはっきり現れていました。

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