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9月11日(土) [矛盾について(その45)]

 「煩悩即菩提」とは「ここは煩悩の世界でありながら、同時に、菩提の世界である」という意味です。そして菩提の世界とは煩悩のない世界に他なりませんから、「ここは煩悩の世界でありながら、同時に、煩悩の世界ではない」となり、明らかに「Aである、かつ、Aではない」という矛盾だと思われます。にもかかわらず、そこに深い真実を感じるのは何故かという問いです。
 もし「ここは煩悩の世界である」という文と「ここは菩提の世界である」という文が「事実の記述」だとしますと、この二つを「かつ」で結びつければ、「この矛はどんな盾も貫くが、この盾はどんな矛も跳ね返す」と同じく純然たる矛盾です。したがって何の価値もないナンセンスな言説として退けなければなりません。
 しかし、この二つの文は「事実の記述」ではなく「感情の表出」ではないか、「見る」文ではなく「感じる」文ではないかという問題提起をしたいと思うのです。
 前に『ザ・コーブ』という映画に関連して、「イルカ漁は残酷だ」という文は、一見イルカ漁についての事実を記述しているように見えるが、実は「感情の表出」だと述べました。同じように、「ここは煩悩の世界である」も、一見この世界についての事実を記述しているように見えますが、実は「感情の表出」です。
 なぜか。
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