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9月19日(日) [矛盾について(その53)]

 さて貪欲「むさぼり」、瞋恚「いかり」ときまして、最後は愚痴「ぐち」です。
 ぼくらはしょっちゅう「ぐち」を言っています。思うようにことが進まないとき、「こんなはずじゃない」と言います、「ほんとうは、もっとうまくいくはずなのに」と。これが「ぐち」です。
 ほんとうも何も、これが現実で、これ以外にありようがないのに「これは何かのまちがい」と思いたがる。うまくいかない自分はほんとうの自分ではなく、どこかにほんとうの自分がいると思いたい。
 「ロドス島では、オリンピック選手もかなわないような大跳躍をやったものさ。ロドス島に行ったら、聞いてみるがいい」という『イソップ』のことばを思い出します。これには「ロドスまで行って聞くまでもないさ、ここで跳んでみろよ」と言いたくなります、「ここがロドスだ、ここで跳べ」と。
 「こんなはずじゃない、これはほんとうのぼくじゃないんだ」にも、「じゃあ、ほんとうのきみをここで見せてみろよ」と言いたくなります。本人もこれは逃げ口上だと感じているのです。こんなことを言ってもしょうがないなあと思いながら、つい言ってしまう。これが「ぐち」です。
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