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9月21日(火) [矛盾について(その55)]

 煩悩とは我執にほかならず、それは「われにとらわれる」ことでした。
 では「われにとらわれる」とはどういうことか。「オレが、オレが」と前にしゃしゃり出ることです。人より少しでも多くと「むさぼる」ことです。人に先を越されると「いかり」心頭に発することです。人に負けると「こんなはずじゃない」と「ぐち」をこぼすことです。
 このように煩悩とは「われにとらわれる」ことです。煩悩が苦しみの元凶だというのは、「オレが、オレが」と思っているのに、そのオレが病気になってしまい、そこから「何であいつではなく、このオレが」という苦しみが生まれるということです。
 「オレが、オレが」さえなければ、「何でこのオレが」という苦しみは生じることはありません。病気で体は痛く、熱でだるいでしょうが、それは夏は暑く、冬は寒いのと同じことで、早く過ぎ去るのを待つだけです。
 人より多くをと思い、人の先を越したいと思い、人に勝ちたいと思う。これが我執であり煩悩です。でも、ぼくらはいつもいつも「むさぼり」、「いかり」、「ぐち」っている訳ではありません。多くは他の人と分かち合い、手をとって笑い合い、勝ち負けに拘らずいたわり合っているのです。でもそれは我執がなくなったのではありません。煩悩が消えたのではありません。ただ一時大人しくしているだけです。
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