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10月10日(日) [矛盾について(その74)]

 「これはうまいけど、まずい」と言うのは、矛盾ではないとはいっても、感心できることではありません。こころの中の葛藤をそのままさらけ出しているわけで、できることなら葛藤に決着をつけてほしいと思います。だから「おいおい、きみの言うことは支離滅裂だよ」という声が飛ぶのです。ところがどうやら「われらは煩悩に悩まされている」と「われらは菩提の境地にいる」は矛盾していないだけでなく、互いに互いを必要としあい、補いあっているようです。だから「われらは煩悩に悩まされているが、同時に菩提の境地にいる」は「支離滅裂」どころか、こう言わなければ落ち着かないのです。
 またもや先走ってしまいました。
 ここで考えておきたいのは、「煩悩に悩まされている」のが「われら」であるように、「菩提の境地にいる」のも「われら」だということです。少し前に検討しましたように、「煩悩に悩まされている」と感じるのは「わたし」ですが、しかし煩悩に悩んでいるのは「わたし」だけでなく「みんな」です。「みんな」が煩悩に悩んでいると「わたし」が感じるのです。同じように、「菩提の境地にいる」と感じるのは「わたし」ですが、菩提の境地にいるのは「わたし」だけでなく「みんな」です。わたしだけでなくみんなが菩提の境地にいると「わたし」が感じるのです。
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