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10月31日(日) [矛盾について(その95)]

 話が横道にそれそうですので急いで戻りますと、「おかえり」という声が聞こえたからには、そう言った何ものかがいるはずで、「それは何か」と考えるのは自然だけれども、この追及の旅はどこまで行っても終らないのではないかということでした。ぼくの頭にはゼノンのパラドックスが浮かびます。ゼノンという古代ギリシアの哲学者は、いくらアキレウスの足が速くても、前をノソノソ歩く亀に追いつけないと言いました。なぜなら、アキレウスが亀のスタート地点に至ったときには、亀の足がいくら遅くても、少しは前に進んでいる。アキレウスがその差を詰めたと思ったときには、またもや亀はわずか先に行っているand so on。
 あるものが「何であるか」とその正体をつかもうとする限り、ぼくらはどこまで行ってもたどり着けないのではないでしょうか。アキレウスはもちろん実際にはあっという間に亀に追いつきます。だからこそパラドックスなのですが、そのような物理的なキャッチアップではなく、あるものの本質に追いつこうとすると、そこに限りなく接近することはできても、どこまで行っても隙間が残ると言わなければなりません。あるものの正体をつかむためにはその原因を探らなければならず、それが判明するとさらに原因の原因を探らなければならないand so on。
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