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11月4日(木) [矛盾について(その99)]

 道で見知らぬ人とすれ違うとき、「こんにちは」の声が聞こえたと感じて、思わず「こんにちは」と言ってしまうという例を出しました。しかし科学の立場からしますと、それはあなたがそんなふうに感じただけのことで、ひょっとしたら錯覚かもしれませんよということになります。ですから、自分がそう感じたというところで留まるのではなく、どんな場合に挨拶をし、どんな場合にしないかを客観的に調べてはじめて何事かを言うことができるのだということです。「こんにちは」と挨拶したくなる何かがあるとすれば、「それは何か」を見定めなければならない、これが科学というものです。
 しかし「見る」ことは「感じる」ことの代わりをすることはできません。
 何かを感じない人に、それが何かについていくら説明しても埒があきません。それはもう感じてもらうしかないのです。「これはうまい」と感じない人に、このうまさとは何かをどれほど力説しても時間の無駄です。うまみの成分をどれだけたくさん含んでいるか、いかに古くからこのうまさが認められてきたか等々いくら言われても、それで「これはうまい」と感じるようになるわけではありません。しかし「感じる」ことができれば、それは主観にすぎないと言われようと、それは科学ではないと言われようと、感じた内容は梃子でも動きません。
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