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11月8日(月) [矛盾について(その103)]

 「みんなにひとしく生きる場所がある」という声は外からくるのは確かですが、しかし一体どこから?
 ここで持ち出されるのが神や仏です。この間カルチャーセンターで「親鸞の思想の核心は“救いはあなたから”という点にあります」と話しましたら、すかさず「あなたって誰ですか」という質問が飛んできました。ぼくとしては「救いはあなたから」という結論に至る過程をさまざまな角度からお話したいと思っていたのですが、「あなたって阿弥陀仏のことですね」と言われます。「そう言っちゃってもいいのですが、それで何か分かったような気になりたくないのです。それにそう言ってしまいますと、信仰を持っていない人は置いてきぼりを食ってしまいます。ぼくとしては親鸞を一部の人だけに囲い込みたくないので、あえて“あなた”と言っているのです」と答えておきました。
 「みんなにひとしく生きる場所がある」という不思議な声は阿弥陀仏から届けられると言うことによって、この声について何か新しい了解がつけ加わるでしょうか。「この不思議な声は何?」に代わって、「阿弥陀仏って何?」という疑問が生まれるだけではないでしょうか。そしてその疑問に「阿弥陀仏とはかくかくしかじかである」と答えても、「そのかくかくしかじかは何?」という問いが重ねられるだけです。こうして不幸な堂々巡りがくり返される。
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