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11月10日(水) [矛盾について(その105)]

 「あいつならいいのか」という声がズシリと届きますと、こころは深い悲しみに満たされます。
 苦しみは三つの段階を経て深化していくようです。再び病気の苦しみを例に取りますと、第一段階は「身体が思うようにならない」苦しみで、「もう長くはないかもしれない」という不安もつきまといます。それが第二段階の「よりによって何でオレが」という嘆きへと深化し、苦しみの正体がこの嘆きであることが判明するのです。
 この嘆きがなければ、病気そのものから来る苦しみは、夏は暑く冬は寒いようなもので、通り過ぎるのを待つしかありません。「何でこのオレが」と嘆くものですから、「身体が思うようにならない」こと、「もう長くはないかもしれない」ことが耐えられないほど辛く感じられるのです。
 そして「何でオレが」と嘆くとき、ふと「あいつならいいのか」という不思議な声が聞こえてハッとすることになります。この声で「何でオレが」という嘆きは煩悩だと気づかされ、「救われない」という悲しみに沈むことになるのです。これが第三段階です。
 「苦しみ」から「嘆き」へ、そして「嘆き」から「悲しみ」へ。
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