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11月22日(月) [矛盾について(その116)]

 ぼくらが「みんなにひとしく生きる場所がある」と言うとしますと、そのとき「みんな」のなかには「ぼく」が真っ先に入っています。しかしぼくらが「みんなにひとしく生きる場所がある」という声を聞くとき、その「みんな」にはそう言っている本人は入っていません。
 太郎と次郎がいるところで、太郎が「みんなにひとしく椅子がある」と言うとしますと、そのときの「みんな」にはそう言っている太郎が真っ先に入っていますが、どこかから「みんなにひとしく椅子がある」の声がするとき、その「みんな」にはそう言っている本人は入っていません。
 「みんなにひとしく生きる場所がある」の「みんな」が「まず自分、しかる後にみんな」ではなく、正真正銘の「みんな」であるならば、それをぼくらが言うことはできません、ただ聞くことができるだけです。ぼくらがそれを言っても一向に構いませんが、そのときには直ちに変質して「まず自分、しかる後にみんなに生きる場所がある」になってしまうのです。
 このように、ぼくらはただこの声を聞くことができるだけとしますと、ここでまた「この声はどこから」の疑問がかま首をもたげてきます。
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