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12月8日(水) [矛盾について(その132)]

 やはり「みんな悪人」は何も言っていないに等しいのでしょうか。黒が黒であるためには白が必要なように、悪人が悪人であるためには善人が必要であり、したがって「みんな悪人」ではありえないのでしょうか。
 こういう考え方もあります。一方に「みんな悪人」の世界があり、他方に「みんな善人」の世界があって、きっぱり分かれて並び立っていると。いわゆる「二世界説」で、こう考えれば先のアポリアは解決できそうです。こちらの世界の住民がみんな悪人であることは、あちらの世界の住民である善人と比較することによって明らかになります。この考え方はぼくらに結構馴染み深いものです。この世は穢土で、あの世は浄土。この世の衆生はみな煩悩を抱える悪人ですが、あの世で煩悩から解放され仏となる。
 この考え方の難点は、こちらの世界に住んでいる人間がどのようにしてあちらの世界のことを知りうるかということです。世の中には得々と「あの世では云々」と言う人がいますが、「あなたはどうしてあの世のことを知っているのですか」と聞きたくなります。たとえ二つの世界があるにせよ、ぼくらはこちらの世界に閉ざされているのですから、あちらの世界のことは知る由もありません。
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