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12月14日(火) [矛盾について(その138)]

 こんな状況を考えてみましょう。待合室で電車を待っています。辺りには誰の姿も見えません。ふと見ると少し離れた席にバッグが置いてあります。前々から欲しいと思っていた流行のバッグです。思わず手が伸びそうになりますが、そのときです「そんなことをしちゃいけない」という声がします。それで出そうになった手が引っ込むのですが、その声は自分の声でしょうか、それとも外からやってくる声でしょうか。悪に走りそうになっている自分を引きとめてくれる声を「良心の声」と言います。これは自分の中から出てくる声です。
 こころの中で善と悪がせめぎ合っています。「持っていっちゃえ」と「人のものに手を出すな」のせめぎ合いです。どちらも自分の中から出てきます、前者は欲望から、後者は理性から。としますと、外から来ると思えた声も実は中からの声ではないでしょうか。もう一度椅子取りゲームで考えてみましょう。
 椅子の取り合いで、相手を突き飛ばしてはいけません。これは勝手に相手の持ち物を持ち去るのと同じで、理性はこれを厳しく禁止します。思わず誰かを突き飛ばしそうになったとき、「そんなことをしちゃいけない」と理性が命じるのです。でも、誰も突き飛ばすことなく椅子を確保したとしても、なおかつ別の声がすることがあります、「他の誰かを押しのけている」と。お前が椅子を確保することで、他の誰かがあぶれることになる、というのです。これも内なる理性の声でしょうか。
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