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1月31日(月) [矛盾について(その186)]

 矛盾の問題を掘り下げる中で「自力と他力」の矛盾ついて考えてきました(152~)。ぼくらの「する」ことは一切が「こちら」の意思による(したがって自力)のですが、それら「する」ことはすべて「いる」ことに支えられており、そして「いる」ことは「あちら」から与えられる(したがって他力)ということでした。
 さて、「自力と他力」の矛盾は、その系として「自由と宿業」の矛盾を含んでいますので、この難しい問題に思いを潜めたいと思います。
 宿業についてはすでに少し触れました(145)。そこで親鸞のことば「卯毛羊毛のさきにいるちりばかりもつくるつみの、宿業にあらずといふことなし」を引いたのでした。善をなそうとして、つい悪をなし、そんな気は毛頭ないのに、思いがけず善をなしているというのがぼくらの偽らざる姿です。こんなふうに何か得体の知れない力に動かされているという感覚、これが宿業です。
 宿業の元来の意味は「過去の行い」ということです。宿とは「もとからの」ということ、業とは「しわざ」ですから、宿業とはこれまでになしたわざが因となっていまのわれらを支配しているということです。
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