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2月11日(金) [矛盾について(その197)]

 「どう思おうがものごとはなるようにしかならない」の「思う」は「しようと思う」ではなく「したいと思う」の方に違いありません。
 善いことをしたいと思うのに、気がついたら悪いことをしてしまっている、これが宿業の感覚です。善いことをしたいと切に思う、その思いに偽りはありません。ところがいつの間にか煩悩の虫どもに唆されて思いもかけないことをしてしまっているのです。煩悩の虫とは「わたし」に他なりませんから、気がついたら思いもかけないことをしてしまっているとしても、間違いなく「わたし」がそうしようと思ってしたのです。あれは煩悩の虫どもがやったことで「わたし」ではありませんという言い訳は通りません。
 「したい」と思っていることとは裏腹に、気がついたら思いもかけないことをしている、これが宿業です。思いもかけないことをしているとしても、あくまで「しよう」と思ってしているのですから、宿業は自由と矛盾するわけではないでしょう。しかし「したい」と思っていたのに、蓋を開けてみるとそれとは正反対のことをしているのですから、宿業は〈希望〉を脅かします。どうしたいと思おうが、そんなこととは無関係に、なるようにしかならないとしますと、是非こうしたいと思っても空しい。ここから無力感が生まれます。
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