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2月26日(土) [矛盾について(その212)]

 「あなた」は二人称代名詞としては非常に使い勝手が悪いことばです。ちょっと確認してみましょう。
 相手が目上に当たるとき、例えば平社員が部長に「あなたは」とは言いにくい。もちろん「きみは」とか「おまえは」などとは言えません(首が危ないでしょう)。やはり「部長は」と言うのが普通です。生徒が先生に「あなたは」と言うのもどんなものでしょう、何か緊張した雰囲気が漂います。「先生は」が普通です。こんなふうに、目上の人にはその人の立場を表すことばを使うことが多く、二人称代名詞は使わないようです。
 相手が目下に当たるときはどうかと言いますと、先ほどとは逆に二人称代名詞を使い、その人の立場を表すことばは使えません。親が子どもに「おい、子ども」と言うのは変ですし、先生が生徒に「おい、生徒」と呼ぶのもおかしい。前者は「おまえ」あるいは名前で呼ぶでしょうし、後者は「きみ」でしょう。このように目下に対しては二人称代名詞を使うのが普通ですが、しかし「あなた」は使いにくい。母親がこどもに「あなたは」と言うケースもあるでしょうし、先生によっては生徒に「あなたは」と言うこともあります。でも何となくよそよそしい感じを与えるようで敬遠されるのではないでしょうか。
 では同僚や友達の間ではどうか。この場合も「あなた」を使えないことはありませんが、まだ関係が親密ではない場合に限られると思います。間柄が近くなるとやはり「おまえは」であり、あるいは女性なら名前で呼ぶことが多いと思います。
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