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3月20日(日) [矛盾について(その230)]

 「あなた」とキリストの違いは何か。
 キリストはひとりしかいませんが、「あなた」は無数にいます。太郎は次郎の「あなた」となり、そして次郎は三郎の「あなた」となり、三郎はまた四郎の…と続きます。「あなた」はどこにでもいるということです。しかし、同時に「あなた」はどこにもいません。太郎が次郎の「あなた」となったとき、次郎が「あなた」に近寄ろうとしても、そこにいるのは太郎でしかありません。「あなた」をつかまえることはできないのです。「あなた」はどこにでもいるのに、どこにもいない。
 「あなた」は内部にいるのに、内部にいないと言っても同じことです。
 「きみ」や「ぼく」とは別に「あなた」がいるわけではありません、「あなた」とは「きみ」や「ぼく」のことです。その意味で「あなた」は内部にいるのです、決して神や仏のように外部に超然としているわけではありません。しかし同時に「あなた」をつかまえようとしてもどうしてもつかまえられません。つかまえたと思った瞬間、そこにいるのは「きみ」や「ぼく」で「あなた」ではありません。「あなた」は指の間からするりとくぐり抜けてつかまえることができないのです。その意味で「あなた」は内部にはいません、やはり外部の人です。

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