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3月28日(月) [矛盾について(その238)]

 今自足していても、いや、今自足しているからこそ、先のことが不安になるのではないかと言われるかもしれません。今足りているものがこれから先になくなってしまうのが不安なのだと。問題は自足の中味です。「する」ことではなく「いる」ことに自足しているかどうか、これです。
 「する」ことにいろいろ不足はあっても(あれもできない、これもできない)、「いる」ことさえ安心できれば、それほど不足に思うことはありません。そして「する」ことは今はよくてもこれから先どうなるか分かりませんが、今「いる」ことに安心できれば、それはこれから先も色あせることはありません。
 今「いる」ことが不安だから、先のことが不安になるということを見てきました。逆に言えば、今「いる」ことに安心できれば、先のことが不安になることはないということです。しかし、だからと言って、「いずれいなくなる」ことの怖さもなくなるでしょうか。これから先、生きていくことには不安を感じなくなっても、死への怯えは残るのではないか。
 先のことが不安と言うとき、とりあえずは、どのように生きていけばいいか不安(妻の場合「大病すればどうすればいいのか」、「ひとり残されたらどうしよう」)ということですが、これは「する」ことの不安です。しかし「いなくなる」ことの怖さはまた別で、それはどこまでもついて回るのではないでしょうか。

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