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6月12日(日) [矛盾について(その313)]

 「こんにちは」と「そのまま生きていていい」とは何が違うかということでした。
 友達にメールで「こんにちは」と発信するとき、何を送っているのでしょう。もちろん直接的には「こんにちは」ということばそのものを送っているのですが、そのことばを通じて何か伝えたいことがあるに違いありません。ただ単に「元気かい」という挨拶だけかもしれませんし、何か用事があって、それを伝えるためかもしれません。ともあれ、「こんにちは」ということばを発信する以上、相手に対して働きかけが行なわれているのは間違いありません。だからこそ、働きかけを受けた側は、それに応答しなければならないと思うのです。
 こう言っていいでしょうか、「こんにちは」を通して相手に与えられているのは「する」ことだと。
 「挨拶する」こと、あるいは、「用件を伝えようとする」ことです。それは例えば握手をしようと手を差し出すのと何も変わりありません。「こんにちは」と言うことで、相手に手を差し出しているのです。こんなふうに「する」ことが差し出されますと、相手もそれに応じて「する」ことでお返ししなければなりません。誰かが手を差しのべれば、こちらもおのずと手を差し出すことになります。「こんにちは」と言われたら、それに応じて「こんにちは」と返す。「する」ことはおのずと相互的になるのです。
 それに対して「そのまま生きていていい」の方はと言いますと、それを通して「する」ことが与えられているのではなく、「いる」ことが与えられているのです。


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