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8月23日(火) [矛盾について(その385)]

 「有限と無限」というのは実に厄介な問題です。まず言えるのは、有限から無限へと至る道は閉ざされているということです。
 ぼくらは無限の宇宙と言い、眼に見える空のはるか彼方を思いやります。まだ幼かった頃、宇宙には果てがあるのかという問いに小さな頭を悩ませたものです。もし果てがあるとすれば、その外側はどうなっているのか。もしそこにも空間があるとすれば、それも果てはあるのだろうか。こう考えていきますと、果てはどこまでも、文字通り果てしなく後退していくのみで、これが無限だといえるところにはいつまでたっても至ることができません。
 では存在するのは有限だけで、無限は名前だけなのかと言えば、そんなことは決してありません。
 そもそもぼくらはどうして有限ということが言えるのでしょう。例えば、地球の資源は有限だと言いますが、そう言うためには無限を何らかの形で意識していなければなりません。「これが無限だ」と指し示すことはどう頑張ってもできませんが、でも無限を「感じている」からこそ、地球の資源は無限ではなくて有限だと言うことができるのです。「知る」ことはできなくても、「感じる」ことができるものがあるということです。あるいはこう言えるかもしれません。有限から無限へと出る道はないが、無限から有限への通路はあって、そこから無限が感じられるのだと。
 「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」というメッセージも無限から有限への通路を通って届くのではないでしょうか。

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