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矛盾について(その386) ブログトップ

8月24日(水) [矛盾について(その386)]

 これから少し金子大栄というぼくの尊敬するお坊さんの言葉を手がかりに考えていきたいと思います。彼は清沢満之を師とする真宗のお坊さんです。
 まずは平和について。
 「まえに、平和というものを考えようではないかということで、『世界仏教徒の会』が開かれたことがありました。そこでは正義を説く人が多かったのですが、ともかくわれわれは、正義を通さねばならないのであり、正義を通さないで不当なことをやるものがある限りは、平和はこないということでした。そして、平和のために闘わざるべからずということを聞いたのですが、それは今日の人びとの常識であってなんの疑いもないことかもしれません。しかし、わたしどもは、もうこりごりしているのです。戦争のたびに、世界平和のために闘うのだとなんべん聞かされたかわからない。…ほんとうは、平和のためには平和のこころをもたねばならない。ほんとうに世界を平和にするためには、平和のこころをもつことのほかにない。」
 金子氏の言われるように、これまでの戦争は例外なく正義を掲げて行われてきました。どんな戦争も、どんな喧嘩も、双方ともにそれなりの理由があるでしょう。そうでなければ起こるものではありません。喧嘩両成敗とはよく言ったものです。どちらかが一方的に善く、どちらかが一方的に悪いということはありません。どちらにもそれなりの理由があって喧嘩は起こるのですから、喧嘩をしたことについてはどちらも責任を負わなければならないのです。
 しかし、ぼくらは自分が正しく、相手が間違っていると思います。自分が間違っているかもしれないと思うのは実に難しい。

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