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11月6日(日) [矛盾について(その460)]

 ちょっと本題からそれるかもしれませんが、最近こんなことがありました。
 カルチャーセンターでの話が終った後、ある方から「これを読んでみてください」とコピーされた紙片を渡されました。「これは森村誠一氏の『老いる覚悟』という本の一部ですが、読んでいて違和感を覚えたのです」と言われます。見てみますと、「余生は人生の決算期。覚悟を持って明日を切り開け」という見出しのもとに、こんなことが書かれています。
 「万民に余生があるということは、人間の寿命が延びて生まれた社会の現象であり、今後ますます長寿化していく。横丁の御隠居や、楽隠居は絶滅して、余生は他力本願から、自力で生きていかなければならない社会の構造になっていく。…人生の決算期ともいうべき余生を実りあるものにするために、自らの力で未来を切り開く決意をし、覚悟を持って日々をおくれば、必ず豊かな余生が待っているのである。」
 よくある論です。このご時世、もう楽隠居できる時代ではなくなったのだから、周りから支えてもらえることを期待するのではなく、自分の力で未来を切り開こうと思わなければならないと言うのです。他力ではなく自力。これは老人に向かって言われていますが、若者に対してこれまで説き続けられてきたことです。
 いま読んでいる『希望のつくり方』(玄田有史著 岩波新書)の中にこんな記述がありました。希望は変化を求めるものですが、「変化には二つの、似て非なる側面があります。『変わる』という変化と『変える』という変化です」と。ここにも同じ主張があります。

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