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12月22日(木) [矛盾について(その506)]

 日本国憲法第9条に対して、恒久の平和なんてただのお題目にすぎないという声があります。現実を見よ、国際政治がパワーとパワーのぶつかり合いの場であることは誰の目にも明らかではないか。少しでも強い力で相手を従わせようとしているときに、「われらは恒久の平和を願って戦力を持たないことにする」と宣言することがどんな意味を持つかを考えるべきだと。
 中国が空母を持つなど海軍力を増強しています。もちろん力で周辺海域の利権を確保しようとしているのでしょう。そんな国が隣にあるのに、お題目のように「恒久の平和」を唱えているのはお人よしにもほどがある。所詮、力による争いが国際政治であるなら、9条を改正して、日本も必要とされる戦力を持つとはっきり周辺に知らしめるべきだ、という声には説得力があります。現に自衛隊という軍隊があり、そして安保条約により米軍という後ろ盾を持っているのです。もうすでに9条の平和主義は看板に偽りありと言わなければなりません。
 かように恒久の平和なんてただの理想にすぎないという声はよく理解できます。日本が戦力を保持しないと宣言しても、周りの国々が力でものごとを進めていこうとしている以上、馬鹿を見るのは日本だけじゃないかと言われるのももっともです。しかしそれでも恒久の平和を願わざるを得ない。日々争いの中にありながら、にもかかわらず争いのない世界を願わざるを得ないというのはどうしてでしょう。争いから抜け出られないのが宿命なら、もうすっきり開き直って、争いに負けないよう努力する方が筋が通っていると思えるのに、性懲りもなく争いのない世界を願い続けるのは不思議とも言えます。

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