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矛盾について(その524) ブログトップ

1月9日(月) [矛盾について(その524)]

 外なる悪と内なる悪。
 もう一度戦争を例に考えてみましょう。よくこんなことが言われます、内地では評判の明るくていい人であったのに、大陸の戦地に行くとびっくりするほど変身して、残虐なことを平気でしてしまうことがあると。これは戦争という外なる悪が、日本で穏やかな生活をしていたときには目立たなかった内なる悪を刺激して、驚くほどひどいことをさせてしまうということでしょう。
 ここに内と外の関係がはっきり映し出されています。ぼくらの内に紛れもなく悪が潜んでいます。でも、それは普段は大人しくしているのです。ただ、外が騒々しくなってくると、それに刺激されて蠢きだす。
 ぼくは常々、煩悩というヤツは「腹の虫」のようなものではないかと思っています。「腹の虫がおさまらない」とか「虫の居所が悪い」とか「虫がすかない」など、日本語特有のおもしろい言い回しがあります。
 どうやらぼくらの腹の中には「虫」が住んでいて、それが機嫌を悪くさせたり、イライラさせたりしているようです。ぼくらの気分や感情をつかさどっているのでしょうか。そう言えば「虫が知らせる」などという言い回しもありますから、テレパシーみたいな能力もあるのかもしれません。 煩悩というのも、この「腹の虫」のようなものだと思うのです。「欲しがり虫」と「怒り虫」と「愚痴り虫」が腹の中に住んでいて、外界の状況に敏感に反応する。

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