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2月6日(月) [矛盾について(その552)]

 沖縄では敬老思想が強く、認知能力はかなり低下している痴呆老人たちを地域ぐるみで支えているようです。そのようなところでは被害妄想などの周辺症状は出ないまま、平和共存が可能です。しかし周辺症状が出てきますと、もう家族も地域も支えることができなくなり、病気として隔離しなければならなくなるのです。
 問題は、どんな状況で周辺症状が現われるかということです。本の中にこんな事例が紹介されています。
 「例えば、グループホームに適応し落ち着いているご婦人を久しぶりに自宅外泊させると、帰ったその晩にせん妄状態になり、お嫁さんに向かって『この人殺しが!』と叫んだりする。たまりかねた家族が翌日ホームに連れ戻すと、なじみの仲間たちが『〇〇さん遊びましょうよ』と迎えてくれ、血相を変えていたご婦人が途端に穏やかになって談笑しだすという具合です。」
 こうしたケースは全国の施設で観察されているそうで、先の沖縄の例とあわせて考えてみますと、たとえ認知能力がよほど衰えていても、周りとのつながりが感じられていれば、周辺症状もなく穏やかに過ごせると言えそうです。
 これまではただの老化と見なされていたものを病気にしてしまっているところがないでしょうか。もう少し考え続けたいと思います。

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