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2月7日(火) [矛盾について(その553)]

 これまでは病気ではなかったものを病気としてしまうことについて。
 病気かそうでないかは本質的に主観的なものだということは、同じ本にある次の記述からも分かります。
 「『私は本当はとても健康です。この問題はあるけど、私はそれでも私なのよ』。これは転移が起こった末期がん患者の女性の言葉ですが、その客観的医学状態とは明らかに矛盾します。カガワ=シンガー(アメリカの医療人類学者です)によれば、がん治療を受けているにもかかわらず、五十人(日系とイギリス系アメリカ人が半々)のうち四十九人が、自分を健康だと感じていた。そして多くの人が、学校の教師など社会的活動をしていました」。
 がん患者といっても症状は千差万別でしょうから、一概には言えないと思いますが、末期がんの患者が「私は本当はとても健康です」と言うというのはやはり衝撃的です。「本当は」というところに彼女の置かれている状況が浮き彫りにされていますが(多分寝たきりの状態ではないのでしょうか)、がんの病巣を抱えて通常の生活はできないとしても「私はとても健康です」と言う。
 一見、単なる強がりとも思えますが、「私はそれでも私なのよ」というところに、私が私である限り健康なのだという主張があります。誰が何と言おうが、私が健康だと思えば健康なのだと。やはり、病気かどうかは本人がどう思うかにかかっているようです。病気だと思えば病気だし、病気ではないと思えば病気ではない。

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