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2月23日(木) [矛盾について(その569)]

 妻に尋ねてみました、ぼくらが怒るのは怒りたいからだろうか、それとも怒りたくないのに怒ってしまうのだろうかと。妻の答えはこうでした、怒ると疲れるから、そういうことでは怒りたくないけど、それでも怒るのは怒りたい気持ちが勝るからだよ、と。
 やはり怒りたいから怒るのだというのです。
 よく怒る人というのは、理由は何でもよくて、とにかく怒りたくて仕方がないから、どんなことでも怒りをぶつけるのだという妻の言い分には説得力があります。同じ状況で怒る人と怒らない人がいるということは、妻の言い分を裏書きしているとも言えそうです。
 しかしほんとうにそうか。
 また「割り込み」の例で考えてみましょう。ホームで電車を待っているとき、横から割り込みされると無性に腹が立ちます。怒りがムラムラ湧いてきます。これは怒りたいから怒るのでしょうか。ぼくにはそうは思えません。ぼくの気持ちなど無視して、怒りが勝手にぼくを占領してしまったと感じます。
 そのとき、怒りを抑えかねて「割り込みをやめよ」と言うかどうか、これはぼくの意思にかかっているでしょう。ぼくが抗議するとしたら、それは抗議したいからです。逆ねじを食らわされてはかなわんと思ったら、腹が立つけれども黙っているでしょう。
 でもムラムラするのは、これはもう何ともなりません、気がついたらムラムラしていたのです。

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