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2月24日(金) [矛盾について(その570)]

 ムラムラは何ともならないのかどうか。
 この本の著者なら「あなたはムラムラしたいから、ムラムラしているのです」と言うでしょう。だからムラムラしないようにすることはできると。そのためには「エゴを捨てる」ことが必要だというようにつながっていくのは先に見たとおりです。ここに分かれ道があります。ムラムラとは仏教で言う煩悩ですから、一方は何とかして煩悩を克服しようとする道です。「エゴを捨てる」ことを目指して修行しようと。もう一方の道は、煩悩は何ともならないと観念します。「すべてを宿業にまかせる」ということです。何ともならないのですから、まかせるしかありません。
 これは一見「あなたまかせ」で、いいかげんに思えます。でも、よく見ますと、そうでもないことが分かります。割り込みをされてムラムラ怒りが湧き上がるとき、それを「ああ、また腹の虫が」と思えますと、ふと「こんなに腹立たしいのは、自分もまた割り込みをしたい(他人より先に行きたい)からじゃないのか」と思いいたります。もし自分にそういう気持ちがないなら、他の人が割り込みをしたって「どうぞお先に」と平気でいられるじゃないかと。これは、割り込みをするかしないかでは大きな違いがあっても、割り込みをしたいという点では同じじゃないかと気づくことです。
 この「彼も我も同じ」という気づきは、怒りの増幅を抑えてくれます。彼も我も宿業の中でもがいているという思いは、腹の虫をなだめてくれるのです。

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