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2月26日(日) [矛盾について(その572)]

 日本人に宗教性があるでしょうか。
 話に加わっていたひとりが、仕事でしばらくインドネシアにいたことがあるということで、イスラム世界の印象を話されました。イスラム教はしっかりした宗教の型があると言われます。どんな大事な仕事の話をしていても礼拝の時間になるとそれを最優先させる、そして豚肉は絶対に食べない、などなど。それに比べると日本人にはそういった型がありません。ここから日本人には宗教がないという印象が生じるのだと思います。
 でも、だからといって日本人に宗教性がないことにはなりません。いやむしろ、型をとらないだけ余計に深い宗教性があるのではないでしょうか。
 これは何かの本に出ていたことですが、ある韓国の学者が日本人には深い宗教性があるとして、「夕焼け小焼け」の童謡にそれがよくあらわれていると言っているそうです。「夕焼け小焼けで日が暮れて、山のお寺の鐘が鳴る、お手々つないでみな帰ろ、カラスと一緒に帰りましょ」。これは今でも歌い継がれているのでしょうか、ぼくにはその学者の言われることが何となく分かるような気がします。
 これまで何度も「帰っておいで」の声が聞こえるという言い方をしてきました。これは親鸞に関係して言ってきたのですが、広く宗教というものの原点であるように思えるのです。「帰っておいで」という声がどこかから聞こえて、「ああ、帰るところがある」と安心できる。これが宗教性ではないでしょうか。

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