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5月10日(木) [矛盾について(その645)]

 同じ著者(森岡正博氏)の別の本『33個めの石』より。
 まずクローン人間の話。
 2001年にラエリアンという名のアメリカの新宗教団体がクローン人間を作ることに成功したとの嘘の発表をしたそうです。それによりますと「クローン人間を依頼してきたのは、生まれたばかりの子どもを事故でなくした資産家の両親であったという。死んだ子どもの身体の細胞を使って、まったく同じ遺伝子の赤ちゃんを作ってほしいと依頼したというのである」。
 いかにもありそうな嘘です。
 ふたつめは人型ロボットの話。
 非常に精巧な人型ロボットに老後の介護をしてもらうことになりますと、「その先にあるのは、死の看取りである。自分のことを世界でいちばんよく知ってくれている、かけがえのないロボットに、死にゆく私を最後まで看取ってほしいと人は思うようになるのである。私の死を看取り終え、身辺の整理をすべて行ない、そして私の墓の隣で一緒に眠ってくれるロボット」。
 死を看取るロボットはこれからでも、そんなペットは現実にいることでしょう。
 わが子をなくした親や、看取ってくれる人のいない老人の寂しさを癒してくれそうなクローン人間や人型ロボット。それはいいことだから、そのような技術はどんどん開発すべきではないかという話になりそうな気がします。ものごとには光と影があるわけで、影を探せばいろいろ出てくるでしょうが、ぼくとしては、もっと手前のところで何か強い違和感があります。

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