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5月26日(日) [はじめての親鸞(その149)]

 ちょっと飛び入りです。最新刊の『親鸞ルネサンス』(5月20日発行)を読み始めたのですが、その「はじめに」が面白いのです。
 安倍首相の施政方針演説(今年2月)から、
 「『強い日本』。それを創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です。『一身独立して、一国独立する』。私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り拓こうという意志を持たない限り、私たちの未来は開けません」
という部分を引き、著者の安冨氏(東大教授)はこう述べます。
 「この言葉を聞いて私は、暗澹たる気持ちになりました。というのも私は、こういう考えこそが、我々の社会を混乱に陥れ、人々を苦しめている、と考えているからです」と。そして安富氏は「『自ら運命を切り拓こうという意志』によってのみ、『未来』が切り拓かれる、という妄想」について、その危険性を指摘します。
 ぼくはそれを読みながらアベノミクスの危うさを思いました。物価を2パーセント上昇させるという決然たる「意志」によって、デフレからの脱却という「未来」が切り拓かれるとする単純自力主義。政治というのは、一定の目標を決め、それに向かって具体的な政策を実現していくものではあります。その意味では、目標を達成しようとする「意志」がなければ、「私たちの未来は開け」ないと言わなければなりません。しかし、経済という複雑な生き物を決然たる意志によって操ることができるとする発想には怖さを感じます。いのちを遺伝子技術で操ろうとするのと同じ怖さです。

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