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2013年8月24日(土) [はじめての『教行信証』(その27)]

                  3.教巻
(1)二種の廻向
 もう一度『教行信証』の構成を見ておきますと、①教巻、②行巻、③信巻、④証巻、⑤真仏土巻、⑥化身土巻の6巻に分かれます。
 これを見て普通に思うのは、教巻というのは文字通り「浄土の教え」が説かれており、その教えに基づいて、行巻では「どのように行じるか」、信巻では「どのように信じるか」が述べられ、そして証巻では、その結果として「どのような境地に至るか」が説かれているのだろう。真仏土巻と化身土巻は、よく分からないが、説き残されたことがここで扱われているのだろう、といったところでしょうか。
 いずれにせよ教巻というのは、この書物全体の要に当たるきわめて重要なところだろうと予想するでしょう。
 ところがです、岩波文庫版で400ページを超えるこの書物の中で、教巻はわずか5ページしかありません。因みに、行巻は87ページ、信巻は114ページ、証巻は33ページ、真仏土巻は43ページ、化身土巻は123ページです。
 しかもです、浄土の教えが説かれているであろうという期待は、「それ真実の教をあらはさば、すなはち大無量寿経これなり」という一文で見事に肩透かしを食らわされます。浄土の教えは無量寿経がそれですと言われるだけで、この「経の大意」がわずか5行でまとめられているのです。えー、たったそれだけと驚かされるのですが、そのことについては後で考えたいと思います。
 その前に、教巻冒頭の一節を見ておかなければなりません。
 つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の廻向あり。一には往相、二には還相なり。往相の廻向について、真実の教行信証あり。



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