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『末燈鈔』を読む(その277) ブログトップ

第2段 [『末燈鈔』を読む(その277)]

(4)第2段

 義絶状の第2段です。「母のあま」のことが出てきます。

 又、母のあまにもふしぎのそらごとをいひつけられたることも、まふすかぎりなきこと、あさましうさふろう。みぶの女房の、これえきたりてまふすこと、じしむばうがたうたるふみとて、もちてきたれるふみ、これにおきてさふろうめり。慈信房がふみとてこれにあり。そのふみつやつやいろはぬことゆえに、まゝはゝにいゐまどわされたるとかゝれたること、ことにあさましきことなり。よにありけるまゝはゝのあまのいゐまどわせりということ、あさましきそらごとなり。又この世にいかにしてありけりともしらぬことを、みぶのによばうのもとえもふみのあること、こゝろもおよばぬほどのそらごと、こゝろうきことなりとなげきさふろう。まことにかゝるそらごとどもをいひて、六波羅のへむ、かまくらなむどに、ひろうせられたること、こゝをうきことなり。

 (現代語訳)また母の尼についても、思いもよらないような偽りを言っているのは、言いようもないほど嘆かわしく思います。みぶの女房がこちらにきて、慈信房からもらった手紙だと持ってきまして、こちらに置いていったようです。あなたの手紙ということでこちらにあります。その手紙に、全くかかわりのないことで継母に言い惑わされたと書かれているのは、とりわけ嘆かわしく思います。この世に生きている継母が言い惑わしているなどというのは、呆れるような偽りです。またどのようにしておいでになるかを知らないのに、みぶの女房に手紙を書くなどというのは、思いもよらないほどの偽りで、情けなく嘆かわしく思います。全くこんな偽りを六波羅や鎌倉に報告しているというのは、何とも情けないことです。


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