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『唯信鈔文意』を読む(その77) ブログトップ

もう一度、慈愍の文 [『唯信鈔文意』を読む(その77)]

              第6回

(1)もう一度、慈愍の文

 聖覚が第18願のこころを明らかにするために引用した慈愍三蔵の文をもう一度あげておきます。

  彼仏因中立弘誓(ひぶついんちゅうりゅうぐぜい)
  聞名念我総迎来(もんみょうねんがそうこうらい)
  不簡貧窮将富貴(ふけんびんぐしょうふき)
  不簡下智與高才(ふけんげちよこうさい)
  不簡多聞持浄戒(ふけんたもんじじょうかい)
  不簡破戒罪根深(ふけんはかいざいこんじん)
  但使回心多念仏(たんしえしんたねんぶつ)
  能令瓦礫変成金(のうりょうがりゃくへんじょうこん)」

 読み下しますと、こうでした。
  かの仏(阿弥陀仏)の因中(法蔵菩薩であったとき)に弘誓を立てたまへり。
  名を聞きてわれを念ぜばすべて迎へ来らしめん。
  貧窮と富貴とを簡(えら)ばず、
  下智と高才とを簡ばず、
  多聞と浄戒を持てるとを簡ばず、
  破戒と罪根の深きとを簡ばず。
  ただ回心(えしん、こころを翻す)して多く念仏せしむれば、
  よく瓦礫(瓦や小石)をして変じて金と成さんがごとくせしむ。

 前回(第5回)で「不簡破戒罪根深」まで進み、今回は残りの2句「但使回心多念仏 能令瓦礫変成金」の注釈です。まず「但使回心多念仏」について。


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