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偈文4 [正信偈と現代(その29)]

              第4回 信心とは

(1)偈文4

 本願名号正定業(ほんがんみょうごうしょうじょうごう) 本願の名号は正定の業なり。
 至心信楽願為因(ししんしんぎょうがんにいん)     至心信楽の願を因とす。
 成等覚証大涅槃(じょうとうがくしょうだいねはん)   等覚を成り、大涅槃を証することは、
 必至滅度願成就(ひっしめつどがんじょうじゅ)     必至滅度の願、成就なり。

 (現代語訳) 本願(第十七願)の名号を称えることは往生のための正しい行であり、また至心信楽の願(第十八願)による信心が往生のための因となります。そして必至滅度の願(第十一願)が成就して、今生において等覚(正定聚)となり、必ず仏の悟りをひらいて涅槃に至ることができるのです。

 この部分は短いことばで多くのことが詠われており、一筋縄ではいきませんが、幸いなことに親鸞自身が『尊号真像銘文』という書物で解説してくれていますので、それを前もって読んでおきましょう。

 「本願名号正定業」といふは、選択本願の行といふ也。「至心信楽願為因」といふは、弥陀如来回向の真実信心なり。この信心を阿槈菩提(あのくぼだい、悟りのこと)の因とすべしと也。「成等覚証大涅槃」といふは、成等覚といふは正定聚(しょうじょうじゅ)のくらゐ也。このくらゐを龍樹菩薩は「即時入必定(そくじにゅうひつじょう、すなはちのときに必定に入る)」とのたまへり。曇鸞和尚は「入正定之数(にゅうしょうじょうしじゅ、正定の数に入る)」とおしえたまへり。これはすなはち、弥勒(みろく)のくらゐとひとしと也。証大涅槃とまふすは、「必至滅度の願成就」のゆへに、かならず大般涅槃(だいはつねはん)をさとるとしるべし。滅度とまふすは、大涅槃也。

タグ:親鸞を読む
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