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偈文15 [正信偈と現代(その130)]

           第15回 曇鸞-生死すなはち涅槃なり

(1)偈文15

 往還回向由他力(おうげんえこうゆたりき)     往還の回向は他力による。
 正定之因唯信心(しょうじょうしいんゆいしんじん) 正定の因はただ信心なり。
 惑染凡夫信心発(わくぜんぼんぷしんじんほつ)   惑染の凡夫、信心発すれば、
 証知生死即涅槃(しょうちしょうじそくねはん)   生死すなはち涅槃なりと証知せし
む。
 必至無量光明土(ひっしむりょうこうみょうど)   必ず無量光明土に至れば、
 諸有衆生皆普化(しょうしゅじょうかいふけ)  諸有の衆生みなあまねく化すといえり。
 
 (現代語訳) 曇鸞大師は『浄土論註』において、次のように言われます、「往相の回向も還相の回向も弥陀の本願力によります。往生浄土の因は、ただ信心です。煩悩に染まった凡夫も、信心を得さえすれば、この生死の迷いがそのままで涅槃であることを分からせていただけるのです。そして往生できましたならば、一切の衆生を救う働きをさせていただくのです」と。

 曇鸞讃の後半です。前半6句の最後に「報土の因果、誓願に顕わす(浄土の因も果も、弥陀の本願によることを明らかにした)」とあったのを受けて、ここで「往還の回向は他力による(浄土へ往くことも、浄土から還ることも他力による)」と述べます。この二つはぴったり重なります。浄土の因とは、われらの側から言いますと、浄土へ往くことであり、浄土の果とは、浄土から娑婆に還って普化のはたらきをすることです。そのいずれも弥陀の本願によるのであり、すなわち他力によるのだというのです。

タグ:親鸞を読む
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