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『教行信証』精読(その26) ブログトップ

本文1 [『教行信証』精読(その26)]

                第3回 教巻

(1)本文1

 これより教巻に入ります。まず「顕浄土真実教文類 一」と題名が掲げられ、下に「愚禿釈の親鸞の集」とあります。そして本文がはじまります。

 つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり。一つには往相、二つには還相なり。往相の回向について真実の教行信証あり。
 それ真実の教を顕さば、すなはち『大無量寿経』これなり。この経の大意は、弥陀、誓を超発(ちょうほつ)して、広く法蔵を開きて、凡小を哀れんで選んで功徳の宝を施することを致す。釈迦、世に出興して、道教を光闡(こうせん)して、群萠を拯(すく)ひ恵むに真実の利をもつてせんと欲(おぼ)すなり。ここをもつて如来の本願を説きて経の宗致(しゅうち)とす、すなはち仏の名号をもつて経の体とするなり。

 (現代語訳) 謹んで浄土の真実の教えを考えてみますと、二種類の廻向、すなわち如来からの賜物があります。一つは往相廻向で、われわれが浄土へ往生させていただくということ、もう一つは還相廻向で、われわれがこの穢土に還り衆生済度のために働かせていただくということです。そして往相廻向について、真実の教と行と信と証があります。
 さて、真実の教は『無量寿経』に説かれてあります。この経の大意はと言いますと、阿弥陀仏が一切衆生を救おうという誓願を立てられ、広大な法(真理)の蔵の中から、哀れな凡夫たちのために、特に選んで功徳の宝、すなわち南無阿弥陀仏の名号を与えてくださったということです。そして釈迦如来がこの世に現れ、この道理を明らかにして、人々を救うために真実の利(名号のこと)を伝えてくださったのです。こういう訳で、阿弥陀仏の本願がこの経の本質です。そして阿弥陀仏の名号がこの経の根幹です。

タグ:親鸞を読む
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