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『教行信証』精読(その55) ブログトップ

本文3 [『教行信証』精読(その55)]

(9)本文3

 つづけて第十七願が成就されたことを述べる経文が上げられます。

 願成就の文、『経』にのたまはく、「十方恒沙(ごうじゃ)の諸仏如来、みなともに無量寿仏の威神功徳不可思議なるを讃嘆したまふ」と。以上
 またのたまはく、「無量寿仏の威神極まりなし。十方世界無量無辺不可思議の諸仏如来、かれを称嘆せざるはなし」と。以上
 またのたまはく、「その仏の本願力、名(みな)を聞きて往生せんと欲(おも)へば、みなことごとくかの国に到りて、おのづから不退転に致る」と。以上

 (現代語訳) 第十七願が成就したことを『大経』はこう述べます、「世界中の無数の諸仏たちはみな声をあわせて無量寿仏のこの上なく優れた不思議な功徳を讃嘆されます」と。
 またこうも言われます、「無量寿仏の徳はきわまるところがありません。世界中の限りない仏たちが無量寿仏を褒めたたえています」と。
 また「その仏の本願力により、仏のみ名をお聞きして往生したいと思えば、みな例外なくかの浄土へ往くことができ、もう転がり落ちることはありません」とも述べられています。

 『大経』の下巻(『大経』は上下二巻に分かれることから双巻経とも呼ばれます)のはじめに、第十一願の成就文、つづいて第十七願と第十八願の成就文が置かれていますが(この三願はそれぞれ証巻、行巻、信巻の冒頭に掲げられている願です)、ここではその第十七願成就文がまず上げられます。それにつづく二文は、先の三願成就文の後、いわゆる「三輩段」を挟んで、次の「諸仏讃勧の段」から引かれています。この段は散文の部分(長行といいます)と偈頌の部分からなりますが、二つ目の文は長行から、最後の文は偈頌(これを「東方偈」あるいは「往覲偈」とよびます)から出されます。
 一つ目と二つ目の文は第十七願が成就され、阿弥陀仏の徳が世界中の仏たちに讃嘆されていると述べていて何の解説も要りませんが、問題は最後の文です。

タグ:親鸞を読む
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