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『教行信証』精読2(その13) ブログトップ

本文5 [『教行信証』精読2(その13)]

(13)本文5

 次は『五会法事讃』の讃文の四つ目で、『般舟三昧経(はんじゅざんまいきょう)』によるものですが、これは慈愍(じみん)の制作です。

 『般舟三昧経』による。慈愍和尚。今日道場の諸衆等、恒沙曠劫(ごうじゃこうごう)よりすべて経来(かえ)れり。この人身をはかるに値遇(ちぐう)しがたし。たとへば優曇華(うどんげ、三千年に一度花を咲かせるという)のはじめて開くがごとし。まさしくまれに浄土の教を聞くに値(もうあ)へり。まさしく念仏の法門の開けるに値へり。まさしく弥陀の弘誓の喚(よ)ばひたまふに値へり。まさしく大衆(だいしゅ)の信心ありて回するに値へり。まさしく今日経によりて讃ずるに値へり。まさしくちぎりを上華臺に結ぶに値へり。まさしく道場に魔事なきに値へり。まさしく無病にしてすべてよく来(かえ)れるに値へり。まさしく七日の功成就するに値へり。四十八願かならずあひたづさふ。あまねく道場の同行のひとを勧む。ゆめゆめ廻心して帰去来(いざいなん)。とふ。家郷はいづれの処にかある。極楽の池のうち七宝の台(うてな)なり。

 (現代語訳) 『般舟三昧経』による讃文。慈愍和尚の作。
 今日道場にお集まりの方々よ、これまで無量の時を経て輪廻を繰り返してきて、人身を得ることは優曇華が咲くようなもので、まことに遇いがたい。
 まことに希有なことに浄土の教えを聞く機会に遇うことができました。まことに念仏の法門が開かれているのに遇うことができました。まことに弥陀の弘誓がよびかけてくださっているのに遇うことができました。まことにみなさんの他力の信に遇うことができました。まことに今日般舟三昧経によって讃嘆する機会に遇うことができました。まことにみんなで往生をちぎりあう機会に遇うことができました。まことに道場に障りなく集まることができました。まことにみな病にかかることなく集うことができました。まことに七日間の行を成就することができました。四十八願の力でかならず往生できるに違いありません。
 同行のみなさんにお勧めします。どうか自力をすてて故郷に帰ろうではありませんか。故郷は何処かといいますと、極楽の池の七宝のはちすの上です。

タグ:親鸞を読む
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