SSブログ
『教行信証』精読2(その18) ブログトップ

本文1 [『教行信証』精読2(その18)]

          第2回 自然のひくところ―憬興など

(1)本文1

 法照の『五会法事讃』の次は、憬興(きょうごう)の『無量寿経連義述文讃(れんぎじゅつもんさん)』(略称『述文讃』)からです。

 憬興師(きょうごうし)のいはく、「如来の広説に二つあり。初めには広く如来浄土の因果、すなはち所行・所成(しょぎょう、しょじょう、法蔵菩薩の願行とその成就)を説きたまへり。後には広く衆生往生の因果、すなはち所摂・所益(しょしょう、しょやく、阿弥陀仏が衆生を摂取し利益すること)を顕したまへるなり」と。
 またいはく、「『悲華経』の諸菩薩本授記品にいはく、その時に宝蔵如来(世自在王仏のこと)、転輪王(法蔵菩薩)をほめていはく、よきかなよきかな。乃至 大王、なんぢ西方を見るに百千万億の仏土を過ぎて世界あり、尊善無垢と名づく。かの界に仏まします、尊音王如来と名づく。乃至 いま現在にもろもろの菩薩のために正法を説く。乃至 純一大乗清浄にして雑(まじ)はることなし。そのなかの衆生、等一に化生す。また女人およびその名字なし。かの仏の世界の所有の功徳、清浄の荘厳なり。ことごとく大王の所願のごとくして異なけん。乃至 いまなんぢが字(あざな)を改めて無量清浄とす、と。以上
 『無量寿如来会』にいはく、(法蔵菩薩は)広くかくのごとき大弘誓願を発(おこ)して、みなすでに成就したまへり。世間に希有なり。この願を発しをはりて、実のごとく安住して種々の功徳具足して、威徳広大清浄の仏土を荘厳したまへり」と。以上

 (現代語訳) 憬興師はこう言われています。釈迦如来は『無量寿経』で二つのことを説かれています。その前半では阿弥陀仏が浄土をととのえられた因果、つまり法蔵菩薩の願行が因としてあり、阿弥陀仏の浄土が果として成就したことが説かれ、また後半では衆生が往生することの因果、つまり阿弥陀仏が衆生を摂取して、往生という利益が与えられることが説かれているのですと。
 『悲華経』の諸菩薩本授記品にこうあります。そのとき宝蔵如来が転輪王をほめて、次のように言われます、「何とすばらしいことか、(中略)大王よ、西方を見れば百千万億の仏の国土を過ぎて一つの世界があります。ここを尊善無垢と言い、そこにおわします仏を尊音王如来と言います。(中略)いま多くの菩薩たちのために法を説かれています。そこは純粋な大乗の清浄な世界でまじりけがなく、その中の衆生はみなひとしく化生です。またそこには女人やその名さえありません。その世界の功徳、清らかでうるわしいありようは、ことごとく大王の本願の通りで異なるところがありません。(中略)いまあなたの名をあらためて無量清浄としましょう」と。
 また『無量寿如来会』にはこうあります。このような大弘誓願を起こされ、それがみな成就しています。この世において稀なことです。この願をおこしおわり、願に違わぬよう種々の功徳を具足して、威徳限りない清らかでうるわしい浄土をたてられたのですと。

タグ:親鸞を読む
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:学問
『教行信証』精読2(その18) ブログトップ