SSブログ
『教行信証』精読2(その60) ブログトップ

本文2 [『教行信証』精読2(その60)]

(7)本文2

 今度は『往生要集』の大門第四、正修念仏から礼拝についての文です。

 またいはく、「『心地観経』の六種の功徳によるべし。一つには無上大功徳田、二つには無上大恩徳、三つには無足・二足および多足衆生のなかの尊なり。四つにきはめて値遇(ちぐう)しがたきこと、優曇華(うどんげ)のごとし。五つにはひとり三千大千世界に出でたまふ。六つには世・出世間の功徳円満せり。義つぶさにかくのごときらの六種の功徳による。つねによく一切衆生を利益したまふ」と。以上 この六種の功徳によりて信和尚(源信)のいはく、「一つには念ずべし、一念南無仏皆已成仏道(ひとたび南無仏と称するに、みなすでに仏道を成ぜり)のゆゑに、われ無上功徳田を帰命し礼したてまつる。二つには念ずべし、慈眼をもつて衆生を視そなはすこと、平等にして一子のごとし。ゆゑにわれ極大慈悲母を帰命し礼したてまつる。三つには念ずべし、十方の諸大士、弥陀尊を恭敬したてまつるがゆゑに、われ無上両足尊を帰命し礼したてまつる。四つには念ずべし、一たび仏名を聞くことを得ること、優曇華よりもすぎたり。ゆゑにわれ極難値遇者を帰命し礼したてまつる。五つには念ずべし、一百倶テイ界(三千大千世界と同じ)には二尊並んで出でたまはず。ゆゑにわれ希有大法王を帰命し礼したてまつる。六つには念ずべし、仏法衆徳海は三世同じく一体なり。ゆゑにわれ円融万徳尊を帰命し礼したてまつる」と。以上

 (現代語訳) また『往生要集』大門第四にこうあります。『心地観経』の如来の六種の功徳によりますと、一つに如来はこの上ない大功徳田であり、二には如来はこの上ない恩徳田であり、三には無足・二足・多足の一切衆生の中の最も尊いお方であり、四にはお遇いし難いこと優曇華のようなお方であり、五には三千大千世界の中で唯一独尊の方であり、六には世間と出世間の功徳を完全にそなえておられますから、このような六つの功徳によってつねに一切衆生を利益されるのです。(略)この六つの功徳によって、源信和尚はこう言われます。一つにはこう念じましょう、ひとたび南無仏と称することで、みな悟りをひらく身となることができるのですから、わたしはこの上ない功徳田である弥陀に帰命し礼拝します。二つにはこう念じましょう、慈悲の眼で衆生をひとり子のようにみそなわしますから、わたしはこの上ない慈悲の母である弥陀を帰命し礼拝します。三つにはこう念じましょう、世界中の菩薩方も弥陀仏を恭敬されますから、わたしもこの上なく尊い弥陀仏を帰命し礼拝します。四つにはこう念じましょう、ひとたび弥陀の名号を聞くことは優曇華が咲くよりも稀なことですから、わたしはこのお遇いしがたい仏を礼拝します。五つにはこう念じましょう、三千大千世界に二仏がおわしますことはありませんから、たぐいまれなる弥陀仏に帰命し礼拝します。六つにはこう念じましょう、仏法僧の三宝は過去・現在・未来を通じて同一ですから、わたしは三宝の徳をまどかに備えられた弥陀仏に帰命し礼拝します、と。

タグ:親鸞を読む
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:学問
『教行信証』精読2(その60) ブログトップ