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『教行信証』精読2(その139) ブログトップ

本文6 [『教行信証』精読2(その139)]

(13)本文6

 本願一乗海を讃嘆する段の結びです。

 よく三有(さんぬ、三界と同じ。欲有・色有・無色有)繋縛(けばく)の城を出(いだ)して、よく二十五有(迷いの世界)の門を閉づ。よく真実報土を得しめ、よく邪正(じゃしょう)の道路を弁ず。よく愚痴海をかわかして、よく願海に流入せしむ。一切智船に乗ぜしめて、もろもろの群生海に浮ぶ。福智蔵(第18願の真実の教え)を円満して、方便蔵(福智蔵に入らせるための方便の教え)を開顕せしむ。まことに奉持(ぶじ)すべし、ことに頂戴すべきなり。

 (現代語訳) 誓願一仏乗は衆生を迷いの世界から救い出し、再び迷いの世界に戻らないようすべての門を閉ざしてくれます。そして真実の浄土へ往生させてくれます。正しい道と邪な道を弁別させ、本願を疑う愚痴の海を干上がらせ、本願の海へと導き入れてくれます。また完全な悟りの船に乗って、迷いの海に浮びます。福智蔵をまどかに満たすとともに方便蔵を開き人々を導きます。まことにこの教えを奉じるべきであり、謹んで頂戴しなければなりません。

 本願に遇うということは、愚痴の海から本願の海に流入するということですが、それがそのままで群生海に浮んで衆生を導くことにほかならないと述べられます。往相はそのまま還相であるということです。もし群生海と本願海が別々にあるのでしたら、まず群生海から本願海に往き(往相)、しかる後に再び群生海に戻ってくるということにならざるをえませんが(還相)、群生海は群生海のままで本願海です。だから往相は往相のままで還相となります。

                (第8回 完)

タグ:親鸞を読む
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