第13章 天親―煩悩の林に遊んで
(1)五つの功徳
13
帰入功徳大宝海(きにゅうくどくだいほうかい) 「功徳大宝海に帰入すれば、
必獲入大会衆数(ひつぎゃくにゅうだいえしゅしゅ) 必ず大会衆の数に入ることを獲(う)。
得至蓮華蔵世界(とくしれんげぞうせかい) 蓮華蔵世界に至ることを得れば、
即証真如法性身(そくしょうしんにょほっしょうしん) 即ち真如法性の身を証せしむ。
遊煩悩林現神通(ゆうぼんのうりんげんじんずう) 煩悩の林に遊んで神通を現じ、
入生死薗示応化(にゅうしょうじおんじおうげ) 生死の薗に入りて応化を示す」といえり。
(現代語訳)天親菩薩は『浄土論』の中で、次のように言われます、「弥陀本願の功徳の海に入ることができましたら、そのとき必ず往生できる正定聚の中に数えられます。そして蓮華の世界である浄土に至ることができましたら、ただちに真如法性の仏とならせていただくのです。しかしそのまま浄土にとどまることなく、娑婆の煩悩世界に戻ってきては、神通の力を発揮して生死の迷いの中にいる衆生のために働かせていただくのです」と。
天親の後半です。先回「五念門」についてお話しました。天親は、往生の行として礼拝、讃嘆、作願、観察、回向の五つを上げたのですが、これらは「見かけ」上はわれらが往生のためにする行ですが、「ほんとう」は如来がわれらに与えてくださった行であるというところにポイントがあるのでした。「一心」についても同じで、われらが「一心」に帰命するには違いないのですが、それも如来から賜ったものであるということでした。こちらから「一心」になろうとするのではなく、ふと、もうすでに「一心」になっている自分に気づくということです。
さて天親は「五念門」に対応して「五功徳門」を上げます。五つの行に対して五つの功徳が得られると言うのです。
(1)五つの功徳
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帰入功徳大宝海(きにゅうくどくだいほうかい) 「功徳大宝海に帰入すれば、
必獲入大会衆数(ひつぎゃくにゅうだいえしゅしゅ) 必ず大会衆の数に入ることを獲(う)。
得至蓮華蔵世界(とくしれんげぞうせかい) 蓮華蔵世界に至ることを得れば、
即証真如法性身(そくしょうしんにょほっしょうしん) 即ち真如法性の身を証せしむ。
遊煩悩林現神通(ゆうぼんのうりんげんじんずう) 煩悩の林に遊んで神通を現じ、
入生死薗示応化(にゅうしょうじおんじおうげ) 生死の薗に入りて応化を示す」といえり。
(現代語訳)天親菩薩は『浄土論』の中で、次のように言われます、「弥陀本願の功徳の海に入ることができましたら、そのとき必ず往生できる正定聚の中に数えられます。そして蓮華の世界である浄土に至ることができましたら、ただちに真如法性の仏とならせていただくのです。しかしそのまま浄土にとどまることなく、娑婆の煩悩世界に戻ってきては、神通の力を発揮して生死の迷いの中にいる衆生のために働かせていただくのです」と。
天親の後半です。先回「五念門」についてお話しました。天親は、往生の行として礼拝、讃嘆、作願、観察、回向の五つを上げたのですが、これらは「見かけ」上はわれらが往生のためにする行ですが、「ほんとう」は如来がわれらに与えてくださった行であるというところにポイントがあるのでした。「一心」についても同じで、われらが「一心」に帰命するには違いないのですが、それも如来から賜ったものであるということでした。こちらから「一心」になろうとするのではなく、ふと、もうすでに「一心」になっている自分に気づくということです。
さて天親は「五念門」に対応して「五功徳門」を上げます。五つの行に対して五つの功徳が得られると言うのです。