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10月9日(土) [矛盾について(その73)]

 「菩提」はそれ単独で感じるものではなく「煩悩」との関わりの中で感じると言いました。つまり「煩悩に悩まされている」と感じる中ではじめて「菩提の境地にいる」と感じることができるということです。こう言ってもいい、ある人が「煩悩に悩まされている」と感じ、他のある人が「菩提の境地にいる」と感じているのではなく、ある人が「煩悩に悩まされている」と感じながら、同時に「菩提の境地にいる」と感じているのです。ある人は煩悩に苦しみ、ある人は菩提を楽しむ、ということはありません。同じ人が煩悩に苦しみながら、同時に菩提を楽しむのです。
 ちょっと先走ったようです。一体どのようにして「煩悩に悩まされている」と感じながら、同時に「菩提の境地にいる」と感じることができるのかについては、この後ゆっくり検討するとしまして、ここで確認しておかなければならないのは、「われらは煩悩に悩まされている」と「われらは菩提の境地にいる」とは矛盾の関係にあるのではないということです。なぜならどちらも「事実の記述」ではなく「感情の表出」だからです。煩悩も菩提も「見る」ものではなく「感じる」ものだからです。「これはうまい」と「これはまずい」は矛盾しません。ある人が「これはうまい、しかしまずい」と言いますと、紛れもない矛盾に見えますが、実はその人の中で「うまい」と感じる部分と「まずい」と感じる部分が葛藤しているだけです。
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