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3月20日(火) [矛盾について(その595)]

 飛び入りです。きのうの朝刊にこんな記事がありました。
 細野環境大臣が川崎で「がれきを受け入れて」と訴える街頭キャンペーンを行ったところ、賛成派と反対派が対立して騒然となったというのです。ぼくが目を引かれたのは、細野氏が宮城県のがれきと線量計を示して「測って安全性の確認を」と促したのに対して、反対派の市民から出たことばです。
 「そんなもの持ち込まないで」。
 反対派の持つ紙には「命の問題だ」と書いたのもあったそうですが、その命とは誰の命でしょうか。「地元で処理を」と言うとき、地元住民の命はどうなるのでしょうか。反対しているのが「脱原発かわさき市民」であると知って、ぼくの思いはさらに複雑になりました。
 脈絡なくぼくの頭に浮かんだのは、1960年代の学生運動のひとこまでした。あのとき大学はバリケード封鎖されていましたが、それを突破して学内に入ってきた警察機動隊員に向かって学生が発したことばです。
 「ここはお前たちの来るところではない」。
 これを聞きとがめたのは、そのとき学内の研究室にいた高橋和巳でした。彼はこのことばにこだわった。それはただ「機動隊は帰れ」という意味だったかもしれない、そしてそれを発したのはごく一部の学生だったかもしれない。しかし、このことばには学生たちの主張をいっぺんに腐食させてしまう要素が含まれていると彼独特の感性で嗅ぎ取ったのです。

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