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誰も知らなければ存在しないか? [生きる意味(その121)]

(25)誰も知らなければ存在しない、か?

 「誰も“三角形の内角の和は180度である”ことに気づいていないのに、それが確かだとどうして言えるのさ?誰かがそのことに気づき、それが命題の形になってはじめて真理か虚偽かが問題になるんだよ。」
 「じゃあ、万有引力の法則はどう?この法則はニュートンによって“発見”されたが、彼がこれを発見する前から物体は互いに引き合っていた訳で、彼はただその事実に気づいただけだ。とすれば、その事実そのものが真理じゃないかな?」
 「いや、ニュートンがその法則を発見してはじめてその事実も生まれたんじゃないかな。ニュートン以前には、その法則はもちろん、その事実もなかった。」
 「おいおい、それじゃあニュートンはその法則を発見したんじゃなく、発明したことになるよ。」
 「ふむ。ぼくらはニュートン以後の人間だから、地球と月の間に引力が働いていると思っているよ。だけど彼がそんな奇想天外なことを言い出す前は誰もそんな力が働いていようとは思いもしなかった訳だろ。ということは、そんな力はなかったんだよ。」
 「大胆なことを言うね。誰も知らなかったから存在しなかったと。」
 「あのね、ぼくらが世界をニュートン的に見るかどうかということなんだよ。ニュートン的に見れば、地球と月はものすごい力で引き合っているよ。だけどそんな見方をしなければ、引力なんてどこにもありゃしない。」
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