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7月29日(金) [矛盾について(その360)]

 「念仏する」とは、「帰っておいで」の声に「はい、ただいま」と応答することだと言いました。「そのまま生きていていい」の声に「ありがとう」と応答することです。
 ぼくはテレビでよく動物番組(NHKの「ダーウィンが来た」など)を見るのですが、さまざまな動物たちの生きざまを眺めていまして、彼らのこころのうちを想像してしまいます。そもそも彼らにこころがあるのかどうか、何かを思っているかどうかは分かりませんが、どうしてもぼくらと同じような喜怒哀楽を彼らの中に投影してしまうのです。
 テレビで紹介される彼らの生態は大体三つのパターンに分類できます。その1、餌の捕獲。その2、恋のバトル。その3、子育て。
 種の保存のために、ひたすら、餌を獲得し、恋の相手を獲得し、そして子どもを敵から守っているのですが、その生存競争の中で多くの個体が他の種の餌食となっていきます。そんな場面に出会いますと、わが子を敵に食い殺された母親に何とも言えない悲しみ、苦しみを投影せざるをえません。
 生きることの辛さに胸が塞がりそうになります。一体何のために生きているのだと叫びたくなります。
 そんなとき「そのまま生きていていい」というメッセージが届きます。これは「そのままで救われている」ということに他なりません。ぼくがこのメッセージに遇うことができたとしますと、それはこのぼくが「そのままで救われている」だけではありません。生を受けて間もなく何ものかの餌食となってしまった哀れな子も「そのままで救われている」のですし、わが子を亡くして身も世もなく嘆き悲しんでいる母親も「そのままで救われている」のです。

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