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第11回、本文2 [「『証巻』を読む」その107]

(4)第11回、本文2

最後の利行満足(りぎょうまんぞく、自利利他の行が満足し完成すること)の章に入ります。

利行満足とは、〈また五種の門ありて、(ぜん)()に五種の功徳を成就したまへりと、知るべし。なにものか五門。一つには近門(ごんもん)、二つには大会衆門(だいえしゅもん)、三つには宅門、四つには屋門、五つには(おん)(りん)遊戯地門(ゆげじもん)なり〉(浄土論)とのたまへり。この五種は、入出の次第の相を()(げん)せしむ。入相のなかに、初めに浄土に至るは、これ近相なり。いはく大乗正定聚に入るは、阿耨多羅三藐三(あのくたらさんみゃくさん)菩提(ぼだい)に近づくなり。浄土に入りをはるは、すなはち如来の大会衆(阿弥陀仏の説法の座に列する大衆)の数に入るなり。衆の数に入りをはりぬれば、まさに修行安心の宅に至るべし。宅に入りをはれば、まさに修行所居の屋宇(おくう)に至るべし。修行成就しをはりぬれば、まさに教化地に至るべし。教化地はすなはちこれ菩薩の自娯楽(衆生教化を己の楽しみとする境地)の地なり。このゆゑに出門を園林遊戯地門と称すと。

菩薩は五念門という五つの自利利他行を修めることにより、五功徳門という五つの果を得ることになります。五念門と五功徳門は一対一対応しています。つづく文に出てくることを先取りすることになりますが、表に示しておきましょう。

〈五念門〉      〈五功徳門〉

礼拝門   ――   近門

讃嘆門   ――   大会衆門

作願門   ――   宅門

観察門   ――   屋門

回向門   ――   園林遊戯地門

五功徳門のなかで前の四つが自利の門(入の門、往相)であるのに対して、最後の園林遊戯地門が利他の門(出の門、還相)です。


タグ:親鸞を読む
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