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聖道と浄土 [『正信偈』を読む(その111)]

            第16章 道綽-ただ浄土の通入すべき

(1)聖道と浄土
              16
  道綽決聖道難証(どうしゃくけっしょうどうなんしょう) 道綽、聖道の証し難きことを決して、
  唯明浄土可通入(ゆいみょうじょうどかつうにゅう)  ただ浄土の通入すべきことを明かす。
  万善自力貶勤修(まんぜんじりきへんごんしゅ)  万善の自力、勤修を貶す。
  円満徳号勧専称(えんまんとくごうかんせんしょう)  円満の徳号、専称を勧む。

 (現代語訳) 道綽禅師は『安楽集』を著し、この濁った時代に聖道門で悟りを得ることは難しく、ただ浄土門だけがわれらの入るべき道であることを明らかにしてくれました。自らの力によりどれほど善根を積もうともむなしいと説き、功徳が円かに満たされている名号を専ら称えることを勧めてくださったのです。

 曇鸞につづいて中国の二人目の高僧、道綽を讃えます。道綽は、もとは『涅槃経』の研究に打ち込んできた人ですが、曇鸞との出会いを機に浄土の教えに帰入しました。曇鸞との出会いと言いましても、実際に会ったということではなく、曇鸞がすごした石壁山玄中寺(せきへきさんげんちゅうじ)にお参りした際、曇鸞を称える石碑と対面したのです。それがきっかけとなって浄土門に帰し、『安楽集』をものします。


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